【ILPT便り】第203回『 ぼーっとする時間、作っていますか?』 

「ぼーっとする」と聞くと何となく、ネガティブな感じはありませんか?
 
私は、子どものころは特にのんびり行動するタイプで、集合時間にもぎりぎり到着することもあり、母からは「ぼーっとしてないで準備しな!」など注意

されたこともありました。
 
あなたは、いかがですか?
 
「ぼーっとする」に関することで、どんな思い出がありますか?
 
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改めて、最近はいかがですか?
 
「ぼーっとしてますか?」
 
もっと正確に質問すると、「ボーっとする時間を意識的に作っていますか?」
 
休みの日などにはそのような時間をとり、喫茶店に行ったり、ファミレスに行ったりして、一人で落ち着いた空間で「ぼーっとする」こともあるかもしれ

ません。
 
既にご存知かもしれませんが、このように「ぼーっとする」時間をもつことは、脳の領域がいくつか活性化することが分かっており、普段から一日5分で

もそういう時間を取れると脳の活性化にもなるようです。
 
ということで、今回は、「ぼーっとする」ことの効果と具体的方法について改めて、一緒に確認していきましょう!
 

 
◇「ぼーっとする」ことの効果とは?

 
 
まず、「ぼーっとする」ことの効果の報告を紹介します。 

▼ここから引用
 
私たちの脳は,話をする,本を読む,といった意識的な仕事を行っているときだけ活動し,何もせずぼんやりしているときは脳もまた休んでいると考えら

れてきた。
 
ところが最近の脳機能イメージング研究によって驚くべき事実が明らかになった。安静状態の脳で重要な活動が営まれていたのだ。
 
しかも,
 
この脳の「基底状態」とも言える活動に費やされているエネルギーは,意識的な反応に使われる脳エネルギーの20倍にも達するという。

この脳活動の中心となっているのは,「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる複数の脳領域で構成されるネットワークで,脳内のさまざ

まな神経活動を同調させる働きがある。

自動車が停止してもいつでも発進できるようエンジンを切らないでおくのと同じように,これから起こりうる出来事に備えるため,さまざまな脳領域の活

動を統括するのに重要な役割を果たしていると考えられている。
 
▲ここまで引用 

いかがでしょうか? 
 
・安静状態の方が意識的反応より20倍のエネルギー

デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)で神経活動の同調
 
・出来事に備えるために、脳領域の活動を統括
 
などの役割があるとのこと。
 
ご存じでしたか?
 
日々の臨床や、子育てなどの私生活での出来事に、落ち着いて対応できるためにも、非常に重要な機能だと思いませんか?
 
脳を車のエンジンのようにアイドリングしておかないと、すぐにその機能を発揮できないので、不必要な混乱が生じたり、感情が穏やかでなくなったりし

てしまいそうです。
 
患者さんやご家族など、まわりの状況に振り回されず、穏やかに過ごせるためにも是非知っておきたいことですね。
  


◇メンタルヘルスのためにも
 


そのようなことを、順天堂大学の小林弘之先生も報告しています。
 
小林先生は、メンタルヘルスのために三行日記を推奨しており、これは、毎日寝る前に3行の日記を書くことです。

内容は

・その日最もよくなかったこと
・その日最もよかったこと
・明日の目標
 
の3つ。

この3つを書き出すことによって、自律神経が整うとのこと。

良くなかったことから、良かったこと、明日の目標という順番が大切ですね。最後は、明日はこれをやってみようと考えて寝ることで、穏やかな気持ちで

寝れそうです。

そして、これらのことを考えるときには、ゆっくりとくつろいだ時間で、【何もせずぼんやりと】することがポイントのようです。
  
何もしていないのに、あ!これやってみよう、こんな風にすれば良かった!、明日はこうやってみよう!など、自然と浮かんできたことを、さらっと書い

てくと良いのでしょう。

◇「ぼーっとする」ためのコツ

とはいうものの、仕事中も忙しく、家庭でも子育てが大変でひとりでゆっくり過ごす時間がとれないこももあるかもしれません。
 
でも、あきらめないでください。

きっと何かを工夫することでその時間が確保できます。
 
自分一人で、思いつかなかったら周りの人の脳を借りてもいいでしょう。職場のひとや知人との話題で知恵をもらうこともできるでしょう。

例えば、

・子育てが大変な方も、子供と一緒に寝て、朝早く起きて、ゆっくりとした自分一人の時間をとる
 
・トイレに入っているときに、とことん「ぼーっと」してみると決めておく。
 
・入浴しながら、自分の呼吸のみに意識をむけてみる(入浴瞑想)
 
・公園や森林などで自然にふれる。(自然の音を聞き、自然の匂いを感じ、自然の揺れを見て。自然に触れる)
 
・ベランダから空を眺めてみる
 
など。
 
いろいろ試してみて、自分に合った方法を探してみませんか?
  

 
◇本日のまとめ


 
「ぼーっとする」こと、一人でゆっくりする時間をもつことの効果と具体的方法についてふれてきました。
 
生活の中で、一人でゆっくりする時間をもち脳の活性化をすると、人としての器の大きさも増しそうですね。

まだ、ゆっくりとする時間をもてていない方は、いつその時間が取れそうですか?
 
是非、できそうなことから試していただき、自分が一番スッキリ感じる方法を見つけていただければと思います。

すべての人の素敵な笑顔のために!
 
引用:
 日経サイエンス2010年6月号
 『浮かび上がる脳の陰の活動』

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