【ILPT便り】第188回『 セルフコントロール力が、腰痛改善にも子育てにも有効な理由』

From:赤羽秀徳
 
こんにちは。赤羽です。
 
突然ですが、質問です。
 
あなたは子供のころから、目的意識が高く、自分の思考や行動、そして感情をうまくコントロールできていたと思いますか?
 
急にそんな質問をされてもすぐに思い出せないかもしれません。その場合は、ご両親に聞いてみてもいいでしょう。
 
手前みそですが、私の母によると、私は子供のころ
 
「二人の兄の行動をみて、自分なりにどうすればよいのか良く考えて行動していたので、子育てが楽だった」とのことです。

実は、
 
目的意識が高く、自分の思考や行動、そして感情をうまくコントロールできる力は「セルフコントロール力」と言われています。
 
そして、
 
小児期のセルフコントロール力が、老化の速度や中年期の脳や身体の生物学的な若さにも影響があるという報告があります。

この研究の結果は、
 
腰痛改善や夫婦関係、子育てなど対人関係のヒントも満載ですので、一緒に内容を確認していきましょう!
 

 
◇セルフコントロール力により得られるものは?
 

 
今回紹介する研究は、米ミシガン大学アナーバー校のLeah Richmond-Rakerd氏らによるもので、1037人を対象に行われ、
「Proceedings of the National Academy of Sciences」に1月19日掲載されました。
 
早速研究の結果です。
 
主な結果をまず、3つ紹介します。
 
その1:
 
「小児期に、目的意識が高く、思考や行動、感情をうまくコントロールできていた人では、身体能力や認知能力、脳の構造的な老化も含めた総合的な老化の速度が遅いことが明らかになった」
 
その2:

「これらの人では、歩く速度が速く、45歳時の顔は実年齢より若く見えた」
 
その3:
 
「健康や財政に関してより多くの実際的な知識を持ち、人生に対する満足度も高いなど、中年期以降の健康管理や経済・社会面での備えがしっかりできていることも明らかになった」
 
とのことです。
 
・老化(身体機能、認知能力、脳の構造)の速度が遅い。
 
・歩行速度が速い

・実年齢より若い
 
・知識豊富 
 
・人生満足度高い 
 
・中年期以降の健康、経済面などの備え
 
これらが、小児期から影響があるという結果ですね。
 

 
◇なぜ、小児期セルフコントロール力が影響するのか?
 

 
小児期のセルフコントロール力の高さが、中年期の老化速度の遅さに関連する理由について、Richmond-Rakerd氏らは、以下の2つをあげています。
 
「人生に対処するためのより優れた感情制御が関係している」
 
「セルフコントロール力の高い人は、危機や困難をあまり経験せずに済むよう計画的に行動し、実際に危機が訪れた際にも、冷静で思慮深い対応を取ることができる」
 
と説明しています。
 
「感情の制御」は、ILPTセミナーでもお伝えしていますが、腰痛改善のために、脳の鎮痛機構からみても大事な要素ですね。
 
「計画的な行動」とは、たとえば暴飲暴食など目先の欲求に捉われす、その欲求を遅らせることと言えるでしょう。

子供のころから計画的な行動をとれると、それが中年期以降の心身にも影響してくる、というのは興味深い情報ですね。

 

◇もう一つの結果

 
 
別の観点の結果も紹介します。
 
小児期のセルフコントロール力が、変化しない老化速度の予測因子であるのかどうかも検討されたようです。
 
その結果、
 
一部の小児では成人期にセルフコントロール力のレベルが変化したことが判明したようです。
 
このことは、
 
セルフコンロール力が介入により変えられる可能性のあることを示唆しています。
 
さらに、
 
中年期にセルフコントロール力が高い人では、小児期のセルフコントロール力で調整しても、老化速度が遅く、中年期以降の経済・社会面や健康に対する備えができていた。
 
Richmond-Rakerd氏は、この結果に重要な意味を見出しています。
 
「これは、幼い頃のセルフコントロール力が十分でなかったとしても、それを養い、40~50代になっても老化に備えていくことができる可能性があることを意味する。つまり、中年期からでも手遅れではないということだ」と説明しています。
 
===============
中年期からでも手遅れではない!
===============
 
ということで、
ILPTコンセプト その1
 
【あきらめが希望に変わる支援】を継続していきたいですね!
 

 
◇セルフコントロール力と腰痛改善の関連
 

 
最後に、セルフコントロール力と腰痛改善の関連についてポイントをみていきましょう。
 
先ほどもお伝えしましたが、
 
「感情の制御」は、脳の鎮痛機構からみても腰痛改善において大事な要素となります。
 
感情の制御ができてくることで、腰痛の訴えがなくなっていくケースも少なくありません。
 
感情の制御の方法は、ILPTセミナーでもお伝えしていますので、すでに受講された方は、復習しながら実践してみてください。
 
もう一つのポイントは、
 
治療に対して、「能動的」な態度か、「受動的」な態度かということです。これは、予後に大きく影響することも各国のガイドラインで示されています。
 
腰痛の自己管理
 
という事を聞いたことがあると思いますが、腰痛を感じたときに、その腰痛をどのように捉え、どのように自分で対処していくかということです。
 
今、関わっている方が、「能動的」な態度で腰痛治療に向き合えるように支援していくとが、腰痛改善の近道となります。
 

 
◇まとめ

 
 
今回は、セルフコントロール力の報告から、腰痛改善や子育てについて改めて考えてみました。
 
セルフコントロール力は、目的意識が高く、自分の思考や行動、そして感情をうまくコントロールできる力で、
 
小児期のセルフコントロール力は、老化の速度や中年期の脳や身体の生物学的な若さにも影響があるとのことでした。

しかし、
 
40~50代になっても老化に備えていくことができる可能性があるといわれています。
 
腰痛改善や子育てなどに、「セルフコントロール力」という観点もより一層活かしていだだければと思います。
 
まずは、今、できる小さなことから、継続して。
  
すべての人々のハッピーのために。
 
 ・
 
 ・
 
 ・
 
聞きたいことや感想は、気軽にメールでどうぞ。

メール:office〇akahalabo.com (〇を@に置き換えてください)
 
****************** 
対話的腰痛アプローチ 
Interactive Low back Pain Technology(ILPT) 
主宰 赤羽秀徳 
******************