急性腰痛患者における発症後の疼痛強度は、睡眠の質と関連していることが、サウジアラビア・ダンマーム大学のSaad M. Alsaadi氏らにより明らかにされた。最近の報告で、睡眠の質と疼痛強度が密接に関係していることが示唆されていた。腰痛患者では睡眠をめぐる問題が一般的であるが、睡眠の質に、疼痛の強度が影響しているのかどうかは不明であった。結果を踏まえて著者は、「睡眠の質を改善することが疼痛の軽減に寄与するのかについて、さらなる研究が必要である」とまとめている。Arthritis & Rheumatology誌2014年5月号の掲載報告。
研究グループは、睡眠の質が腰痛に及ぼす影響について調査を行い、睡眠不足が腰痛を増強させるのかを調べた。
急性腰痛患者1,246例を対象に、ピッツバーグ睡眠質問票を用いて睡眠の質(0〜3ポイント)を、数値的評価スケールを用いて疼痛強度(0〜10)を評価し、一般化推定方程式を用いて両者の関係を分析するとともに、うつや腰痛の予後因子との関連についても評価した。
主な結果は以下のとおり。
・睡眠の質が1ポイント低下すると、疼痛強度は2.08ポイント(95%信頼区間:1.99~2.16)増加し、睡眠不足が疼痛強度に影響することが認められた。
・この影響は、うつや一般的な腰痛の予後因子とは独立していた。
・睡眠の質は、急性腰痛患者では、その後の疼痛強度と強く関連していることが明らかになった。
原著論文はこちら
Alsaadi SM, et al. Arthritis Rheumatol. 2014; 66: 1388 -1394.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24782195