自宅で暮らし日常的に薬を飲んでいる高齢者の約4割が、6種類以上の薬を併用しているとの調査の結果を東京都健康長寿医療センター研究所のチームがまとめた。高齢者に有害な副作用が出やすいとされる薬を飲んでいる人も約3割いた。横浜市で12日から始まる日本老年医学会で発表する。
高齢者は複数の持病を抱えることが多く、薬の種類が増えがちだが、薬を分解する機能が低下しており、副作用が出やすい。6種類以上の併用は、薬の組み合わせによる相互作用で、転倒しやすくなるなど、体調不良を招く恐れがさらに高まると指摘されている。
調査は2013年11~12月、東京都内の自宅で暮らす65歳以上の約1300人を看護師らが訪問して行い、服薬の内容が確認できた885人分を解析した。
その結果、36%の高齢者が6種類以上の薬を飲んでおり、10種類以上の人も9%いた。中には17種類を服用している人もいた。
記憶力などを調べる簡易検査で、認知機能に障害があると判定された人は全体では11%だったが、6種類以上飲んでいる人では18%と比率が高かった。
また、米国の指針で、高齢者が使用を控えるべきだとされる薬を1種類以上服用している人は28%いた。運動機能の低下や転倒を招きやすいと言われる睡眠薬などが多かった。
調査をまとめた同研究所の新川祐利にいかわひろとし研究員は「複数の医療機関を受診するうちに薬が増えやすい。薬が必要な場合もあるが、不要な薬の増加は、体調不良を招くこともある。医師も患者も注意してほしい」と指摘する。