IAIRコラム No133 『 「重い…」が「軽いっ!」に変わるシンプルな方法!? 』

『 「重い…」が「軽いっ!」に変わるシンプルな方法!? 』

お元気ですか?
体調はいかがですか?

いつも、体も心も“軽い”と理想的ですよね!

今回は、
下肢に“触れることなく”

「自覚的に下肢の重さが変化する」

ことを実感できる
シンプルな方法を通じて

慢性痛への対処方法を
一緒に考えていきたいと思います。

ちょっとややこしい
説明ですが…

よろしくお願いします!

下肢の重さの評価法

では、早速
「自覚的な下肢の重さ」の
評価方法を説明します。

【方法 その1】

背臥位(仰向け)になり
両下肢を伸ばし、
つま先は天井に向けましょう。

その状態から、
片側の下肢を膝伸展位のまま
10cmほどあげましょう。

【方法 その2】

椅子に浅く腰掛け、
背もたれに寄りかない姿勢で
両下肢を前に伸ばします。

その状態から
片側の下肢を膝伸展位のまま
10cmほどあげましょう。

その1、その2
どちらでもやりやすい
方法で結構です。

評価項目は、
「自覚的な下肢の重さ」です。

難しい方法ではないと思いますので、
良かったら 今、
一度やってみて下さい。

・右をちょっと持ち上げる、

次に

・左をちょっと持ち上げる

よろしいでしょか?
やり方は、わかりましでしょうか?

予想してみましょう!

では、
ここでクイズです!

次にあげる3つの方法で、

条件①と②の違いによって
「下肢の自覚的な重さ」が変化するのは、
どれでしょうか?

まずは、
予想でお答えください。

1.表情の違い

①眉間にしわを寄せながら実施

②微笑みながら実施

2.肋骨の誘導方向の違い

①両手で自分の肋骨
(両脇やや前方)を軽く、
尾方向に下げながら実施

②肋骨を頭方向にあげながら実施

3.言葉の違い 

①「私の痛みは、これからもずっと続く」と
言ってから実施

②「私の痛みは、きっとよくなる」と
言ってから実施

・・・

・・

はい、予想していただき
ありがとうございます。

では、

今度は、
実際にやってみて下さい。

では、どうぞ!

1.表情の違い

①眉間にしわを寄せながら実施

②微笑みながら実施

2.肋骨の誘導方向の違い

①両手で自分の肋骨
(両脇やや前方)を軽く、
尾方向に下げながら実施

②肋骨を頭方向にあげながら実施

3.言葉の違い 

①「私の痛みは、これからもずっと続く」と
言ってから実施

②「私の痛みは、きっとよくなる」と
言ってから実施

・・・

・・

ご協力ありがとうございます!

いかがでしたでしょうか?

(いろいろ意見が聞こえてきそうですが…)

1、

2、

3、

3つの方法の、どれをやっても
自覚的な重さが変わった方も
いらっしゃるかもしれません。

私が知人に試してもらった時は、
3つの方法すべてで
②の条件の方が「軽く」なりました。

で、

「え!なんでっ」

と驚かれているものもありました。
特に「3番」の言葉による違い。。。

あなたは、いかがでしたか?

何か感じたや
驚いたことはありますか?

それぞれについて
解説していくと長くなるので、
今回は、「3番」について一緒に
考えていきましょう。

言葉もくすり

では、改めて質問です.

 

普段関わる、患者さん、利用者さんで

①パターン

「もう歳だからね~」

「いつも痛くて
あきらめてんのよ~」

「いずれは歩けなくなるかも…」

という発言が多い方と、

②パターン

「もう、こんな歳だけど、がんばるよ」

「痛みがあっても、やってみたら楽になったよ」

「ほっときゃ良くなるでしょ!」

このような方々の
「体の重さ」の訴えに違いはありますか?

あるいは、

痛みの長引き方に違いはありますか?
口癖のようになっていて
ご本人は、気づいていなかもしれませんが、
周りからは、きっとよくわかると思います。

どんな発言が多いのか…

鎮痛の予測と脳機能

 

実は、今回の「3番」に関連する
興味深い研究があります1)。

「痛みを予測している時」と
「痛みが治まることを予測してい時」の

脳の鎮痛機構の研究です。

この研究によると

「痛みが治まることを予測している」と
脳の鎮痛に関わる
“外側前頭前野”の活動が
高くなっていたようです。

改めていかがでしょうか?

予測

つまり、イメージですね。

慢性痛の対処として
大切なキーワードになってくると思いませんか?
(慢性痛に限った話ではありませんが…)

①「私の痛みは、ずっと続く」と予測するのか

②「私の痛みは、きっとよくなる」と予測するのか

この違いは、

・「自覚的な体の重さ」に
関係していそうですし、

さらに、脳機能の研究1)では、

・「脳の鎮痛機構」

に影響を及ぼしている、とのこと。

あなたの関わる方は、
どんな「予測」をしているのか?

そして、

その「予測」は、どんな情報や
体験に基づいているのか、
気になってきませんか?

もし、

不必要に
「私の痛みは、ずっと続く」という発言が
多いと感じたら、

今回の

3.言葉の違い の

条件① 条件②を

実際に体験していただくというのは、
いかがでしょうか?

その“実感”を通して感動し、

治療に前向きになり
痛みを感じにくくなっていく
ことが期待できそうです。

すべての人々のハッピーのために。

文献1)Lui F,et al.Neural bases of conditioned placebo analgesia.
Pain. 2010 Dec;151(3):816-24