『 子育てにも活かせる!慢性痛改善のヒント 』No131

慢性痛

No131『 子育てにも活かせる!慢性痛改善のヒント 』
 
From: 赤羽秀徳   ILPT主宰 
 
★☆ 腰痛治療 × 温かな人間関係 ☆★
  
今回は、
慢性腰痛など慢性的な痛みを
訴える方と関わるセラピストに
是非知っておいてほしい、
 
慢性痛脳機能の関係について
お届けしたいと思います。
  
タイトルにも書きましたが、
子育てに悩まれている方にも
役立つ情報だと思います。
 
 
さて、早速質問ですが、
  
「 DLPFC 」って

聞いたことありますか? 
 
  
…。
  
 
最近テレビなどでも
慢性痛の話題のときに、
とりあげられておりますが…。
  
 
すでにご存じの方も、
今回お伝えする情報は、
ご存じではないかも?しれないので、
良かったらこの先もお読みください。
  
 DLPFC
  
って、ちょっと長くて
覚えにくいですが、
 
Dorsolateral prefrontal cortex
  
Dorso:背 Lateral:外側 

 Pre:前頭 前:Fronta 野:Cortex)
  
の略です。
  
ここからは、
略語ではなくいきましょう。
 
その方が、脳の部位を
イメージしやすいと
思いますので。
  
 
外側前頭前野と慢性痛の関係
  
さて、
 
外側前頭前野と慢性痛には
どのような関係があるのか
様々報告がありますが、
今回は、その一部を紹介します。
 

★最初に紹介するのは、
2004年のApkarian AVらの研究1)です。
 

この研究によると慢性腰痛者では、
両側の外側前頭前野の容量が
減少しているとされています。
  
そして、
 
罹患期間が長ければ、
その度合いが大きいとのことです。
 
この研究から
シンプルに考えると、
外側前頭前野を刺激できれば
痛みは改善するのでは…?
  
と思われるかもしれません。
  
…。
  
★そこで、次に紹介したいのが
2012年のMaeoka Hらの研究2)です。 
  
彼らは、
背外側前頭前野に電気刺激する前後で、
痛み刺激に対する不快感の程度を実験ました。
  
その結果、
  
刺激後に不快感が有意に減少することを
確認されました。
  
この研究は、
 
以前より伝えられている、
脳の鎮痛機構である
下降性に疼痛を抑制する働き、
 
を改めて確認された研究といえます。
  
ということで、
外側前頭前野を刺激すれば
鎮痛に効果的だということは
わかりましたが、
 
機器がないとできないので
実際には難しいですよね。
 
 
★内側前頭前野との関係★
 
最後、3つ目に紹介したいのが
2006年に報告されたBaliki MNらの研究です。

 
実は、外側前頭前野は、
 
その内側に位置する
内側前頭前野の活動が高まると
機能が低下してしまう、という報告です。

シーソーのような関係で、
一方が高まると、もう片方は、
低くなるということです。
 
そこで、気になるのは、
では、内側前頭前野は、
どういう時に活動が高まるのか?
ということかと思います。
 

その答えの一つに、

「感情的」になること
 
があるようです。

…。
 

★3つの研究から言えること★
 

以上、3つの研究を
シンプルにまとめると
 

「感情的」になる

  ↓
 
内側前頭前野の過活動
 
  ↓
 
外側前頭前野の機能低下
 
  ↓
 
鎮痛機構の機能不全
 
  ↓
 
痛みに過敏

  
という関係が
成り立つかと思います。

 
改めて振り返ってみましょう!★ 
 
いかがでしょうか?
 
ご自身の日常生活を振り返ってみて…。
 
例えば、
子育てで、子どもが夜なかなか
寝ようとせず、イライラした時、
 
あるいは、
 
レストランで
子どもがご飯を途中まで食べて
遊び始めてしまったとき、など

言ううことを聞いてくれないとき
 
様々な感情が沸いてくると思います。
 

そんなことが続いたときの
カラダの状態はいかがでしょうか?
 
あるいは、

あなたが関わる方は、いかでしょうか?
 
いつも、
イライラしていたり、
怒りっぽい方の痛みは
長引く傾向にありますか?
 
そんな方にうまく対応できていますか? 
 
 
★対処法のヒント
 
前述の研究のように、
外側前頭前野の鎮痛機構を
活性化させるためには、
内側前頭前野の機能を
落ち着かせるために、
 
「感情面」への対応
一つの対処法として有効と
言えるでしょう。
 
その方法は、
数多くのものがありますが、
筋骨格系からのアプローチ
できるでしょう。
 
身体に直接触れることで
得られる効果も多々あります。
 
単に触るだけですが、
学んでいくと奥が深いですよ。

 
他には、
当たり前の方法ですが、
「感情のコントロール」という
側面からのアプローチが、
有効かもしれません。
 
今回は、詳細には触れませんが
よく言われているポイントは、

感情を無理に消そうと
 
 抵抗
 
するのではなく、
 
ある場面で出てきた感情に
どのように
 
 対処
 
していくかということが
重要といわれています。
 
 
***
 

今回は、

慢性痛脳機能の関係について
3つの報告を交えながら
改めて考えてみました。

いかがでしょうか?
 
あなた自身、そして、

あなたが関わる方にとって、
 
慢性痛改善のヒント
なりましたでしょうか?

次回も、
慢性痛と脳機能について
一緒に考えていきたいと思います。
よろしくお願いします。

 
すべての人々のハッピーのために。

 

参考文献:

1)Apkarian AV.et al. Chronic back pain is associated with decreased prefrontal and thalamic gray matter density.J Neurosci. 2004 Nov 17;24(46):10410-5.

2)Maeoka H,et al.Influence of transcranial direct current stimulation of the dorsolateral prefrontal cortex on pain related emotions: a study using electroencephalographic power spectrum analysis. Neurosci Lett. 2012 Mar 14;512(1):12-6.

3)Baliki MN,et al.Chronic pain and the emotional brain:specific brain activity associated with spontaneous fluctuations of intensity of chronic back pain.J Neurosci. 2006 Nov 22;26(47):12165-73.
 
 
追伸:
 

 脳機能との関係からも慢性腰痛の方の
 腰に触れる前に知っておきたい!
 
 腰痛改善の大原則があります。
 
 
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