運動皮質の傷、慢性腰痛の重症度と関連


慢性腰痛において、大脳運動野の再構築が運動コントロールを変性し、疼痛や障害などの一因となっている可能性がある。皮質組織化の変化と腰痛の臨床像との関連は明らかになっていなかったが、オーストラリア・西シドニー大学のSiobhan M Schabrun氏らは、第3腰椎での表面筋電図により、慢性腰痛における運動皮質の変質を確認できることを報告した。著者は、「皮質の組織化を修復することが、慢性腰痛の治療戦略となり得ることを意味している」とまとめている。Spine誌オンライン版2015年4月17日の掲載報告。
研究グループは、非侵襲的な表面筋電図で運動野の皮質再構築を特定できるかどうか、さらに皮質再構築が腰痛の臨床像と関連しているかどうかを検討した。
再発性非特異的慢性腰痛患者27例と疼痛を有していない対照者23例を対象に、L3およびL5レベルにて傍脊柱筋の筋活動を表面筋電図で記録するとともに、経頭蓋磁気刺激を用いて運動皮質再現地図を作成し、腰痛の重症度、位置および持続期間について調査した。
主な結果は以下のとおり。

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慢性腰痛患者において、傍脊柱筋の運動皮質組織化が消失しており、表面筋電図で確認することができた。
  • 表面電極をL5よりもむしろL3に置いた場合に、皮質組織化の消失が明らかであった。
  • 運動皮質の組織化の変化が、腰痛の重症度ならびに位置と関連していることが認められた。

Schabrun SM, et al. Spine (Phila Pa 1976). 2015 Apr 17. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25893342